初めての空冷ワーゲンに最適な一台は?:「タイプ1 ビートル 1302S/1303S」

ゴートブロスの八木です。既存のオーナー様からも、そしてこれからワーゲンを迎えたいという新規のお客様からも、「初心者向けのワーゲンはどれですか?」というご質問をよくいただきます。当社の見解として、自信を持っておすすめできるのは、1600ccエンジンを搭載したストラットモデル、タイプ1 ビートル 1302S/1303Sです。その理由をいくつかご紹介します。
1. ストラットモデルならではの快適で現代的な乗り心地
「スーパービートル」とも呼ばれるタイプ1の1302S/1303Sは、現在の車にも多く採用されているストラット式サスペンションを足回りに用いています。このストラットモデルの乗り心地は、一言で表現するなら「とてもしなやか」です。
ビートルのスタンダードモデルが採用する「トーションバー」式サスペンションも決して悪い乗り心地ではありませんが、やはりストラットモデルの快適さには及びません。普段使いも含めた利便性を考えると、1302S/1303Sが群を抜いておすすめできる一台と言えます。
2. 空冷ワーゲンの中では比較的価格が安定
1302S/1303Sは、空冷ワーゲンの中でも比較的価格が安定しているモデルです。2025年現在、120万円から150万円(車両の状態によります*で乗り出せる車体も見つかります。
これは、かつてキャルルックのビートルがブームだった頃に「スーパービートルは不格好」と不人気だった時期があったこと、そして比較的ローダウンなどの大幅な改造が施された車両が少ないことから、状態の良い個体が現存していることも挙げられます。そのため、初めての旧車として安心して選べる一台となっています。
3. 後付けクーラーの取り付けが容易
現代の旧車オーナー様が必ず直面するのが、「クーラー問題」です。特に日本の真夏では、クーラーなしでのドライブは厳しいものがあります。その点、1302S/1303Sは空冷ワーゲンの中でも、運転席と助手席の足元空間が広いため、後付けのクーラーユニットを設置しやすいという大きな利点があります。
スタンダードモデルと比較すると、1302S/1303Sは全体的に丸みを帯びたフォルムをしていますが、このデザインがクーラー設置のしやすさにも繋がっています。エアコンユニットを収めるスペースの確保が比較的容易で、配管などの取り回しもスムーズに行えるため、旧車では諦めがちな「快適な室内環境」を比較的容易に実現できるでしょう。
4. 丸みを帯びた愛らしいフォルムと良好な視認性
1302S/1303Sは、スタンダードモデルに比べてフロントノーズがやや長く、全体的にふくよかな丸みを帯びたデザインが特徴です。この愛らしいフォルムは、見た目の親しみやすさだけでなく、運転のしやすさにも直結しています。
特に、運転席からの前方視界は良好で、車両感覚を掴みやすいというメリットがあります。ボンネットの先端がドライバーから確認しやすく、狭い道でのすれ違いや駐車時にも不安を感じにくいでしょう。初めて旧車、特にビートルという個性的な車に触れる方にとって、この「運転のしやすさ」は非常に重要なポイントです。
もちろん、ご予算やお客様の思い描くスタイルによっては、ご提案できる車両も大きく変わってきます。ぜひ一度、当社にご相談ください!
※少し特殊な条件になってしまいますが、当社でも1302モデルのビートルを販売中です。

ヤマハにて3年の間、高性能乗用車エンジンの組み立てという精密かつ責任ある業務に携わり、自動車のエンジン技術の深い知識と実践的な経験を培う。その後、民間工場での自動車全般の整備経験を経て独立。プロショップ「GOATBROS」を立ち上げ、以後13年間空冷フォルクスワーゲンの中心としたクラシックカーの専門整備、固定概念にとらわれない”こだわり”を形にする車づくりに情熱を注いでいる。過去のエンジン組み立て経験を活かして、現在は空冷フォルクスワーゲンのエンジンオーバーホールや部品を1から作るレストア、旧車の整備知識を活かしたネオクラシックカーの整備なども得意としている。
●所有資格
「国家資格二級2輪自動車整備士」「古物商許可証」「陸運局認証工場静第8231号」「有償運行事業許可 静運輸第419号」